声楽レッスンとボイトレ、どう違う?どちらを選ぶ?音大卒の声楽家がわかりやすく説明します
声楽とボイトレの違い、実はあいまい?私なりの解釈をお話しします
「声楽とボイトレって、どう違うんですか?」
これはよくある質問です。
言葉の定義があいまいな部分もありますが、私自身はこのように考えています。
声楽とは──クラシック音楽を歌うための「楽器としての声」の鍛錬
声楽は、クラシック音楽を歌うための発声練習と技術のことを指します。
具体的には、オペラや歌曲、宗教曲などを、マイクを使わずに生の声で、**アコースティックの伴奏(個人レッスンや発表会では主にピアノ)**または無伴奏で演奏します。
発声そのものが一つの「楽器」として扱われるのが特徴です。
声を「響かせて飛ばす」技術や、ブレス、身体の使い方など、声楽のトレーニングは非常に奥深く、
その訓練は舞台でもホールでもマイクを使わずに響く、強くしなやかな声を育ててくれます。
ボイトレとは──ジャンルを問わず、声そのものを鍛えるトレーニング
一方でボイストレーニング(ボイトレ)は、
クラシックに限らず、ポップスや演劇、ミュージカル、声優の仕事など、
あらゆるジャンルで「声を使う人」のための発声訓練を指します。
発声の基礎は共通する部分もありますが、
たとえばポップスではマイクを使う前提の発声方法、リズム感や歌詞のニュアンス重視など、
声の使い方に幅があるのが特徴です。
私の教室ではマイクは使用しませんが、
他のボイトレ教室では、実際にマイクを使用したレッスンを行うところもあるようです。
どちらを選べばいいの?
自分の声を鍛えたい、うまく歌えるようになりたい、という気持ちがあるなら、
「声楽」と「ボイトレ」の違いをあまり難しく考えすぎなくて大丈夫です。
大切なのは、「どんな声を出したいのか」「どんな場所で歌いたいのか」という目的です。
- クラシック曲やオペラに憧れている → 声楽がおすすめ
- ポップスや演劇、マイクを使って歌うことに興味がある → ボイトレ寄りの内容を
もちろん、両方の要素を取り入れることもできます。
実際に、声楽の基礎を取り入れてポップスを歌うと、声の響きが良くなるというメリットもあります。
声楽とボイトレ──教えている人の違いも?
指導する側の違いも、実は大きなポイントです。
**声楽は、主に音楽大学や専門機関でクラシック音楽を学んだ人(音大卒)**が指導することが多く、
クラシック音楽全般の知識や技術をベースにレッスンが行われます。
一方、ボイストレーニングは、声楽出身の人だけでなく、ポップスやミュージカルなどの現場で活躍している方、あるいは引退後の実力派の方など、
さまざまなバックグラウンドを持った指導者がいるのが特徴です。
実際に、声楽を専門とする人がボイトレも指導することはありますが、
ボイトレの指導者がそのまま声楽を教えるのは、かなり難しいことが多いのが実情です。
それは、声楽に求められる技術や知識が非常に専門的で深いためです。
しかしポップス特有のテクニックや曲については、ポップスの専門家のほうがより詳しく教えられることが可能であることは言うまでもありません。
いずれにしても、指導者(講師、先生)との相性、人柄などはレッスンをする上では非常に重要です。場合によってはそのジャンルの専門家ではなくても、相性の良さから、あなたの魅力を存分に引き出すこともあり得ないことではありません。
最後に
声は、世界にひとつしかない「あなた自身の楽器」です。
どんなジャンルであれ、声を磨くことは人生を豊かにしてくれる素晴らしい時間です。
もし、あなたが「声に興味がある」「もっと自信を持って歌ってみたい」と思ったら、
その気持ちを大切に、まず一歩踏み出してみてくださいね。